子どもたちのアートワークス10 

日刊中高MM連載】(5月25日配信)

◆動くぞ動くぞ~クランクを使って~

皆さんは、「クランク」をご存じだろうか。折れ曲がった柄・曲軸を指す。回転運動を往復運動に変える、またはその逆を行うための折れ曲がった回転軸のことだ。街角や遊園地などで、音楽に合わせて箱の上で人形が単純に上下運動や回転運動をしてるだけなのに、何となくコミカルに感じるものを見かけられた方もあるだろう。おそらくその中にクランクが使われているものがあるはずだ。
c0052304_115303.jpg そのようなクランクの簡単な仕組みを使って、動くおもちゃを作ろう、という題材がある。 日本文教出版5・6年生下の教科書(16年度版=17年度の6年生は使用)の中の「動くぞ、動くぞ」が、そうだ。
教科書に説明はしてあるが、絵や写真だけではどうしても子どもたちはイメージがつかめない。だから参考作品が必要となる。

 5月に、6年生の図工の授業で、この題材を取り上げることにした。導入日の前日に、スチール針金(18番)と、ペンチ、空のテイッシュペーパー箱、竹ひご・ストロー・はさみ・のり・色画用紙を用意した。そして、放課後に職員室でせっせと見本を作り始めた。
「何作ってるんですか?西尾先生」
 当然のように同僚の先生がのぞきこんでくる。
「さあ、なんでしょうね。」
 適当に答えながら、私は、作り続ける。
「できた。」
 箱の横に出ている針金をくるくる回すと、箱の上の草むらから、うさぎがぴょこぴょこと飛び跳ねるように見えるだけのごく単純なおもちゃである。
「F先生、ちょっと見てくださいよ。ほら。」
 今度は私の方から、同僚の先生方に声をかけて作品を見せた。2年生担任の先生は、作品を見て思わず
「かわいい~、私も欲しい~、子どもたちに見せたら喜ぶだろうな~」
とおっしゃってくださった。そんな~、単純なものなのに・・・でも、お世辞でもそういっていただけるとうれしい。
授業が終わったら、その先生に差し上げることにした。
 
 そして翌日、6年生の図工の「動くぞ動くぞ」の導入の時間。私の作った参考作品を、子どもたちの前に提示する。子どもたちの方からは、緑の草むらからちょっとだけピンクの耳先だけが見えているような仕掛けだ。
「さてさて、この草むらの向こうには、何かが隠れていますよ。」
c0052304_1059879.jpg





 そう切り出すと、子どもたちは、すぐに
「分かったー。ウサギだ。」
「そうそう、ウサギ。あの耳ですぐ分かる。」
と、口々に言う。そんな中、よくひねくれた答えを出すK君が
「ぼくは、ピンク色の西尾先生がいると思うな~」
と叫んだ。みんながどっと笑った。私は
「そうかあ、じゃあ西尾先生だと思う人?」
と聞くと、K君とその隣のF君の二人だけが手を挙げる。
「じゃあウサギだと思う人?」
「はーい」
他の全員が元気よく手を挙げる。
「じゃあ。見ておいてね。」
私は横の針金をくるくる回した。
「あ、面白い。動いてる」
「やっぱりウサギだー。」
「あれ?めがねをかけてる~。西尾先生の顔をしたウサギだ~」
意外と受けてみんなが笑っていた。私は一度手を止めて
「そうだよ、これは西尾ウサギ。だからみんな正解。K君さすが。」
c0052304_10595477.jpgと言って再び針金を回した。そのうち
「先生、その箱の中どうなってるんですか?」
と尋ねる子が出てくる。
 そこで中身を見せ、仕組みを簡単に説明し、必要な材料を伝えた。
 そして次に、同じ6年生の子どもが作った参考作品例を見せた。これは実物ではなく、映像である。プロジェクターを通してスクリーンで大きく見せた。
 私が2年前に、前任校で担任した6年生の子どもたちの作品をビデオで撮影し動画のデジタルコンテンツとして作成したものだ。わずか30秒程度だが、「ろくろ首」「馬追い」「結婚式」「花火」などの作品がある。音楽をかぶせて楽しい雰囲気も出している。見ていた子どもたちにとっても、子どもなりのアイデアに心惹かれるものがあったのだろう。目を見開いて楽しそうにじっと見入っていた。
 また、クランクの部分をアップして撮しているので、実物では余りよく見えなかった部分が、後ろの席の子どもたちからもよく見えたと好評だった。
c0052304_1161538.jpg


 そのあとは「アイデアプラン」の作成だ。自分なりにどんなものを作るのか、どんな材料を利用したらいいのか、それぞれで考えるのだ。その間に私の参考作品を子どもたちに回して手にとって見させる。また教科書を見たり、友達と一緒に考えていいよ、と言う。そのうちに
 「先生。さっきのをもう1回スクリーンで見せてください。」
と言う子が出て来たので、さらに数回、再生して流しておいた。
 アイデアプランを見ると、楽しいアイデアがいろいろと出ている。実際にやってみると、ここはうまくいかないだろうな、と思うのもあるが、あまりそこは口出しをしない。試行錯誤しながら、子どもたちは、工夫していくのだし、それが勉強だからだ。

 最後に、必要だと思う材料や用具を書き出させ、次週の図工の時間までに準備をしておくように伝え、この導入の時間は終わった。

◆「クランクを使った作品」のデジタルコンテンツについて

 この授業で活用した動画のデジタルコンテンツは、以下のインターネット上のサイトとページで見ることができます。
○文部科学省“IT授業実践ナビ”(その中に、実践例として挙げてある。) 掲載ページ→ http://www.nicer.go.jp/itnavi/jirei/ITN41131.html
動画クリップがあるのでどうぞごらんくだい。
[PR]
by saibikan | 2005-06-01 23:34 | 6年図工授業 | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : http://iroiroart.exblog.jp/tb/1973850
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。


アートな授業作りに臨む日々。ICT活用や美術館活用、問題解決学習。思考力と心。基本アナログ。ADEでランナーでもあるさいびかんのblog。


by saibikan

プロフィールを見る
画像一覧

カテゴリ

全体
キッズゲルニカ制作編
キッズゲルニカ発信編
アートマイルプロジェクト
6年海外交流ArtMile図工・総合
5年図工美術家連携プロジェクト
5年総合BOBURAドリームP
6年図工授業
5年図工授業
4年図工授業
1.2年図工授業
3年図工授業
ソーラン節
魔法プロジェクト(特別支援教育&ICT)
図工総合関連(竹ちゃん学習)
図工国語関連(やまなし)
図工サークル
図工室経営・図工美術論
図工美術全国大会/InSEA
図工美術熊本県大会2014
版画会・県市図美研・図工研発
造形展・子美術展・児美教室
美術作品・美術館・地域美術
学級づくり
総合的学習・生活科・地域
国語授業
社会授業
算数授業
理科授業
体育授業
道徳授業
外国語授業
音楽・ミュージック
自然・科学
動物(Lee/Chiro/Rufi)
スポーツ
学校行事・その他学校
情報教育(マイタウンマップ)
情報教育(ICT/情報研/JAET))
Future未来問題解決プログラム
情報(社会・news/blog/HP)
情報(番組・メディア・映画)
Macintosh
日常・旅・まち・料理
校内研究
プロフィール
我が家のアート
学習指導要領・教育施策
変わりゆく駅周辺
教師

環境エコ
I love N.Y.
教務の仕事
霧プロ
ゆげっこ同窓会
Family
小説
理科授業
熊本地震
未分類

LINK(excite以外)

ブログパーツ

お気に入りブログ

おおはしわあるど=ブログ=
図工だいすき子ども美術展
美術な目
■ 創生地 ■ そろそろ...
美術と自然と教育と
図工準備室
Hawaiian Br...
れれれさるの『学級日誌』
写真は口ほどにモノを言う 
図工室から ―図画工作の現場―
ぱれっとぺーじ
はーと&はーと 
尻別川の畔より/K9 F...
falmouth
図画工作・美術教育の大切...
“色といろいろ日記”
うつわのココロよ。
Heavenly Blue
つくること みること か...
のんびり徒然なるまま
smilecircle
街を美術館にしよう! ま...
図工大好き橋本ゼミin函館

最新の記事

思い出やお気に入りの場所9 ..
at 2017-01-28 04:55
思い出やお気に入りの場所8 完成
at 2017-01-26 05:56
思い出やお気に入りの場所7 着色
at 2017-01-16 22:34
思い出やお気に入りの場所6 ..
at 2017-01-14 23:15
思い出やお気に入りの場所5「..
at 2017-01-12 06:38

最新のコメント

カギコメ様 了解です。..
by saibikan at 21:11
カギコメ様 コメントあ..
by saibikan at 21:09
Y様 こちらこそ、..
by saibikan at 17:18
「全員でゴール」たしかに..
by saibikan at 08:15
新年度、私も同じところか..
by ゆい at 08:56
西尾さんにここまで丁寧に..
by 村上 at 17:30
いじめを受けたことがある..
by saibikan at 14:02
どういたしまして。うれし..
by saibikan at 04:31
初めてではないと思います..
by saibikan at 21:28
こんにちは! はじめま..
by 和 at 15:23

以前の記事

2017年 01月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 03月
2008年 02月
2008年 01月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 09月
2007年 08月
2007年 07月
2007年 06月
2007年 05月
2007年 04月
2007年 03月
2007年 02月
2007年 01月
2006年 12月
2006年 11月
2006年 10月
2006年 09月
2006年 08月
2006年 07月
2006年 06月
2006年 05月
2006年 04月
2006年 03月
2006年 02月
2006年 01月
2005年 12月
2005年 11月
2005年 10月
2005年 09月
2005年 08月
2005年 07月
2005年 06月
2005年 05月
2005年 04月
2005年 03月
2005年 02月
2005年 01月
2004年 12月
2004年 11月
2004年 10月
2004年 09月
2003年 06月

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

教育・学校
先生

画像一覧