銅版画「城砦」の授業で学ぶ6

授業分科会(授業研究会)編である。

授業後約20人の参加者による意見交換が行われた。
今回はいつもの研究会メンバーだけでなく、一般参加の先生方もけっこうおられた。
そういう立場の方々から鋭い突っ込みがあると協議は盛り上がる。

ある先生からの質問(反論、意見的な)を3点取りあげる。

Q1 子どもたちに自由に想像させることがねらいと言っているのならば、 
 作品の題名を与えたのはそれに反していないか。
Q2 作者が来ていたが、意図や主題をあえて話さなかったので、子どもたちから
  「えー」という反応があったが、これは意欲をそぐことにならないのか。
Q3 自由に想像する鑑賞というのは分かるが、作者の意図を知りたいと自分は考えるがどうか。

授業者並びにスタッフの答えはこう。
 作品名を最後に出すことで、作品名あてクイズのようになってはいけない。当たった外れたーと。作者の意図も同様で、それをあとで知って、自分の考えたことが違っていて外れたと落胆する場合がある。中学年の児童の場合、鑑賞者自身が作品のよさを見つけたり、意味を見出したりしていくような鑑賞の楽しさを十分に味わうことが必要。ただし、作者の意図を聞きたくなる児童もいる。聞きたくなったら聞いた方がいい。聞きたい子から手紙を出して返事を出すという方法がある。
また、Q2については、作者が、4年生の児童に自分が描いた意図を話せば長くなるしすべてを理解してもらうのは難しいだろう、この絵を見て子ども達がどう感じるかが大切だと言うようなことを補足された。

質問者の答えにぴたっとはまっていたとは言えないが、
この質問で鑑賞授業の本質の部分を考えるのにはいい機会だった。

私が思ったのは
・子どもの実態や発達段階に沿う教材であるかを考える必要がある。それは絵を理解できるかどうかでなく、中学年の子どもが「良さや面白さを感じ取る」「感じたことや思ったことを話したり話し合ったりしながらいろいろな表し方や材料による違いがあることを分かる」ことができる作品であるかということだ。もちろん表現の意図が過激であれば、それは教師の方で一考を要しなければならないが、今回はそれはあてはまらないだろう。
地域の美術館にある版画、同じ郷土に住む作者の作品であることで、まず親しみを持った。そして自分たちが経験したことのある手法と似た技法が使ってある版画ということから、絵をじっくり見て描き方や表し方へのよさに気付いた。インパクトのある龍が中心に存在し、周りの瓦礫の様子は、子どもなりのおもしろさへの気付きを持たせ、発想させてくれるものであった。対比的な構図のよさに気付いている子どももいた。そう言う意味では魅力的な題材だと感じた。
・「作品名」「作者の意図」は、大人は知りたいという意欲が強い。高学年になればそう言う意識を持つ子どもも多くなるし、学習指導要領解説書でも「表現の意図をとらえる」ことを必要としている。だが中学年では絵と自分が向き合って感じることが大事となる。作品名を聞いても想像が難しい、理解に個人差が大きい場合は、あまりそれにはこだわらない流れが必要である。最後に出すと子どもの中にどうしても「当たった、外れた」となりがち。それを避けるためであったと考えられる。それと知識豊富で思考の深い子どもは「ああ、だから城砦なのか」とふと思うかもしれない。それはまだ個人的な感想のレベルでよい。
・わざわざ作者に来ていただいたので、表現の意図を話してもらった方がーと言う考え方もあるだろう。今回はむしろ絵の見方=「絵は自由に見ていいのだよ、自分で感じていいのだよ、」と言うことを伝えるのに大きな役割を果たしていただいたように思う。プロの美術家と私たちが言うのには説得力が違う。それでもこの絵の意図を知りたい子どももいるだろうがそれは今後、そう言う意欲がある子どもが自ら動くことが大事となる。発言があったように、そのような子どもは作者に手紙を出す時にたずねるなどしたら、きっと作者はそれには答えてくれるだろう。
ある子どもの感想に「美術館に行って、東さんの他の作品を見てみたい。将来またこの絵を見て考えたい。」と言う言葉があった。こういう子どもを育てることが大事である。


最後に、授業者のMark Murakami 氏に拍手。 
*Markは愛称です。本名ではありません。                        終
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by saibikan | 2013-11-03 13:36 | 4年図工授業 | Trackback | Comments(0)
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