ボタンBの鑑賞授業2014

絵の鑑賞の授業。
以前は不完全な情報の提示(消去した画像や切り取った画像)から
入ることが多かった。それは子どもに考える視点を焦点化させ
思考する力を身につけるためだ。

10年前の授業もそうだった。
ボタンBも頭の上のものを想像させて出し合い、
それが原爆のキノコ雲であることを知り
そこから絵を読み取って行く方法。
最後に専門家の解説でまとめていく。
これはこれで面白い方法であった。
また絵を三分割して部分から絵を見せて行く方法もあった。
この先はどうなっている?と考え、期待しながら
絵をしっかり見て行く。

ただこの数年間で、私の中に、
子どもたちに絵を「ありのままに」出会わせることが大切ではないか
という意識が膨らみ始めた。
ただし旧態依然の鑑賞して感想を言い教師が説明するでは受動型すぎる。
また絵を前にして子どもたちが自由に対話をするだけではまとまとまりがつかず
全員の関心が持続しない。
そう考えたとき、絵と出会ったあと、子どもの気付きや疑問から課題を見つけて
そこを追究して行く中でめあてに迫ることはできないかと考えた。
難しい方法である。わずか1時間でどこまでできるか?という
不安があった。だからこちらでも課題をもって授業にのぞんだ。

導入で絵を見せる。わずか30秒。
第1印象は「こわい」「へんな人が描かれていた」「頭の上に煙のようなものがあった」
よく見えている。
本時のめあて『作家の表現への思いを考えよう。』を提示。
作品名:ボタンB 作家名:浜田知明 と知る。
「作家の思い?全然分からないよ。」
そうそれでいい。だからこそ勉強するんだ。
c0052304_12021466.jpg
みんなに再度絵を提示。
子どもたちの手元にも絵を与える(鑑賞ツールに入っていた三分割)。
グループで話し合いが始まる。気付きをどんどん言っている。?も。
気付き
「押すためのようなもの(ボタン)がある。」
「配線がある。」「電球みたいのものをかぶった人がいる。
「だんだん人が大きくなっている。」
「色も黒い感じからうすくなっていく。」
板書する。子どもは絵の不思議さに吸い込まれて行く

『何か課題を創ろう。疑問やよくわからないことはない?』
んー?子どもの思考が少し揺れている。
分からない事だらけだよ。子どもの顔はそんな感じ。

再度出たきたことを確認。人が3人いて、にたよう格好をしている。でも何か違う。
みんなボタンを押そうとしている。線がつながっていて何かをしようとしている。
うち一人は電球みたいなものをかぶっている。
「何をしているんだろう?」
うーん?? わからない・・・そんな感じ。
何とか読み解こうとしている雰囲気は分かる。

少し停滞気味の空間に、用意しておいた課題を示し学習シートを配布。
『絵をよく見てこの3人が何を思っているだろうか?
想像して、吹き出しに言葉を書いてみよう。』
愚かな発問とまずい学習活動の切り替えだった

これが子どもの思考と活動を遮断したらしい。
うーん、わかんないよ。何て書けばいいんだろう?書けないよ。
今までせっかく話し合いながら盛り上がりそうだったのに。
半分ぐらいの子どもからそう言うテレパシーが伝わる。
それでも挑戦させてみた。だが空白の子どもも多い。
全員が書けない状態でこの課題でストレートにいくのは難しい。

3人の言葉をもっと想像しやすくするために、という観点で
全体をフィードバックした。
「もっと気付きや疑問を出してみようか。」
安心したように子どもたちの中から様々な考えが出る。
「服の袖みたいな者が見える。」
「ん?これは壁じゃない?穴があいてる。」
「そうだ、こっちとこっちは世界が違うようだ。」
「なぜだろう。」
前に出て指しながら説明する子どももいる。
発表の合間に各グループで考え話し合っている。
全体とグループの対話が繰り返される。

やがて「煙が何か」という疑問が起こる。
「怒っているんじゃないかな?この人の怒りが前に伝わり、それがまた前に伝わる。」
「いじめの構造みたいに?」
グループで考えさせた。
あるグループから
「原爆のキノコ雲じゃない?」
という声が出た。
「あ、そうだよ。」
「そうだそうだ、見た事ある。」
「うーんそうかなあ??」

そのタイミングで
「実はボタンBの前に描かれたボタンAという作品があるんです。比べてみようか。」

「あーやっぱり原爆だ。」
「それにしても色が違う。」
「こっちの方が恐い。」

その後子どもたちは2枚の絵をじっくり見始めた。
対話も活発になった。

教師から、原爆の落ちた広島でこの絵を展示された事や
戦争に行かれた経験をもっておられる事、
熊本の画家である事等を話した。

時間も残り少なくなってきたので、作者がこの絵を書いた時の
気持ちと振り返りを書かせて終了。


その後の研究会ではいろいろと厳しいご意見も拝聴した。
「よくぞ子どもは45分間考え続けましたね。」
そう言う声もあった。
はたして今日の学習で子どもたちが何を学んだか
感想を読んでみたいと思った。

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by saibikan | 2014-06-07 13:06 | 6年図工授業 | Trackback | Comments(0)
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