わたしたちのエノキを描こう2

図画工作の目標は、以下である。


現及び鑑賞の活動を通して,感性を働かせながら,つくりだす喜びを味わうよ うにするとともに,造形的な創造活動の基礎的な能力を培い,豊かな情操を養う。


感性

つくりだす喜び


それらが子どもの内面からほとばしる授業をしていきたい。

どうしても、技能的な面に指導がいきがちな時期があった。

今は、図画工作を通して、子どもの「心」を磨くことをやっていきたい。

造形的な創造活動と結びついて、それらが高まることが図画工作のよさ。


実際の自分の実践は、まだまだと振り返る日々。

日常の授業の改善が、自分にできること。


以下は前回の続きです。(日刊中高MMに掲載)

先日の情報研で発表した内容でもあります。


***********************

 「この写真をみてください。」 

 私が提示した、倒木の写真(デジタルテレビに映し出した画像)を見て子どもたちはすぐさま反応。

「うわ、すごい。」

「台風で倒れた木?どこの?先生の家かな。」

まさか。こんな大きい木のある庭なんかないよ。

「あ、これみたよ。運動場みたいだ。お?お!・・・O小学校!」

写真のわずかな情報から推理して、見事にピンポイントに!私は

「その通り。よくわかったね。ニュースにもなっていましたね。見た人?」

と続けた。半分以上の子どもが、倒れたO小学校の大榎(おおえのき)のことを知っていた。

c0052304_05572994.jpg

 「他にも写真を見てもらいましょう。」

私は、地域や学校の方々の木に対する思いが伝わる画像を数枚続けて提示し、最後に学校のある児童が描いた「一本の木」を見せた。目の前の子どもたちは、絵を見ながら、推測した。

 この絵を描いた時、すでにエノキは倒れていたという事実を。そしてこの児童はなぜ、家に帰って絵を描いたのか、というその子の思いを。

c0052304_06030234.jpg

c0052304_06030588.jpg

 そこから、彼らの視点を自分たちの目の前に切り替えていく。

 「ところでエノキって、他にもあるところを知ってるでしょう?」

「ある、ある。僕たちの学校にも。」

 「台風でどうなったかな?」

「どうもなってない。元気に立ってる。」

 「そうだね。あのエノキはいつからあるの?」

「さあ・・・1年生の時にはあった。」

「この学校ができた時じゃないと?140歳かな?」

「そんなに大きくないよ。どう見ても20年ぐらい?」


 自分たちの学校のエノキについていろいろ語り合う。セミがよく鳴いているとか、誰かが登ったよ、とか。根元はどうなってたっけ?という疑問に、いつからか周囲に土が盛られてると思い出していた。

さらに、枝はどんな形で伸びてるかな?葉の色は?数は?台風で枝は折れてなかったか?様々な問いに頭をひねる子どもも出てきた。よく考えると、それぞれ、自分たちの身近な木を見ていないことに気付き始めた。


 「みんなのエノキはまだまだ元気いっぱい。だからこそ、その姿をしっかり見よう。そしてかき表しておくことも大事。画用紙にその姿をかこう!」

と、ここでB4の画用紙を出す。

「え?今?無理だよ。かけない。」

「どうなってたかなあ、外で見たらかけるけど。」

「じゃあ、外に行こう!自分たちのエノキを見てその場でかこう!」

「ほんとに?」

そこで、スケッチペンで描くことを伝える。かたつむりのようにゆっくり線で描くことも。画用紙、スケッチペン、画板だけを持って外へGO!


 子どもたちは外に出ると、下から枝を見上げたり、幹に手を当てて撫でていたり、いろいろな行動をとった。中にはエノキの近くにある登り棒の上にスイスイと登って、そこで画板を広げている子どもも2人いた。

「先生、あの上に○○くんたちがいます!」

思わず女の子が指差して叫んだ。絵を描くにはちょっと無理がある態勢だ。

「ああ、危ないからそこからはおりなさい。」

「いやだ!ここからがよく見える!」

いつもは絵を描くことに興味を示さない2人が意欲を持っていたことはありがたかったが、やはり安全性を考えるとそう声をかけざるを得なかった。やがて二人は、ブツブツ言いながら下に降りた。


c0052304_06083302.jpg


 そして約20分間

「自分たちのエノキの姿をよく見て、形を捉えてえがく」

ということをめあてに一人一人が画用紙にエノキの姿を描いた。

「なんかうまくかけないなあ。」

そう呟く子どもが何人もいたが、私は

「お。いい、いい!このダイナミックさ、力強いねえ。」

「細いところをよく見てるね。幹のこの膨らみも雰囲気出てる。」

「なに?うまくかけなかったから消したい?・・・いいって。色でどうにでもなるさ。ほら、木を見てごらん。枝は葉の陰に隠れてるじゃない。色で葉っぱをいっぱい書くと、隠れて意外といい具合になるよ。」

と、声をかけ回った。要は安心感を持たせることが第一だ。


 また、形の捉え方に助言があったほうがいいかなと思った子どもには、

「こうかくとさらによくなる。」

と一言付け加えるのだ。短い時間でどうにか形は書き終えた。

あと2回、1時間ずつ色塗りをする。(続く)


********************************


今回の写真の数枚は、知人の方の撮影したものを提供していただきました。



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by saibikan | 2015-10-01 06:08 | 4年図工授業 | Trackback | Comments(0)
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