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銅版画「城砦」の鑑賞授業で学ぶ2

 *これは、Mark村上(Markは通称である。)氏の公開授業及び研究授業に参加した
  SaibiKanが、実際に授業を見、多くの方の意見を聴きながら考えたことをふまえて
  書き綴っている記事。

  この実践が市図工・美術教育研究会の研究局の事業の一つとして行われたもので
  あること、チームで意見を出し合いながら皆で作り上げた授業であることから、
  研究局代表として、総括的な意味を含めて書いている。

  もちろんきちんとした記録は、他の場でまとめて報告作成中。したがってここでは、
  私見を交えているが、授業者に感謝の意を表しつつ、今後の図工・美術教育の授業
  作りのために、発信している。

 ************************************

1 題材名 見つけよう、感じよう、絵の中から 〜城砦〜

2 題材のねらい
   他者と対話しながら感じたことや想像したことの違いを感じ、作品が表していることを
  自分なりに想像したり考えたりするような鑑賞の楽しさを味わうこと。

3 作品「城砦」を題材に取り扱う意義
   熊本市現代美術館所蔵。おびただしい瓦礫の山やその上に横たわる龍(ドラゴン)、
  そして背景には、ビルのような建物とその上の家屋などが緻密に描かれている。絵に
  表された世界がどのようにしてできたかは容易には分からず、かえって鑑賞者が自由に
  想像できる。描かれたものを関連付けながら、作品に表された世界ができたいきさつを
  想像したり、自分なりに名前をつけたりすることで、子ども達同士がお互いの見方や、
  感じ方の違いを交流できる魅力的な作品。
   
   以上1〜3は、村上氏の指導案からの引用である。

ここで図画工作の鑑賞の内容の系統を見てみよう。(学習指導要領解説書)
12年
(1) 身の回りの作品などを鑑賞する活動を通して,次の事項を指導する。
  ア 自分たちの作品や身近な材料などを楽しく見ること。
  イ 感じたことを話したり,友人の話を聞いたりするなどして,形や色,
    表し方の面白さ,材料の感じなどに気付くこと。 
34年
(1) 身近にある作品などを鑑賞する活動を通して,次の事項を指導する。
  ア 自分たちの作品や身近な美術作品や製作の過程などを鑑賞して,
    よさや面白さを感じ取ること。
  イ 感じたことや思ったことを話したり,友人と話し合ったりするなどして,
    いろいろな表し方や材料による感じの違いなどが分かること。

56年
(1) 親しみのある作品などを鑑賞する活動を通して,次の事項を指導する。
  ア 自分たちの作品,我が国や諸外国の親しみのある美術作品,
    暮らしの中の作品などを鑑賞して,よさや美しさを感じ取ること。
  イ 感じたことや思ったことを話したり,友人と話し合ったりするなどして,
    表し方の変化,表現の意図や特徴などをとらえること。
銅版画「城砦」の鑑賞授業で学ぶ2_c0052304_1155850.png   


34年の記述にある「身近な美術作品」とは地域の美術館にある作品もその一例である。
授業の中で、授業者が「作者は熊本市に住んでいます」と言ったとき、子どもが、
「へえー」とつぶやき作品を身近に感じたのは事実である。   


銅版画「城砦」の鑑賞授業で学ぶ2_c0052304_1115724.png
そしてこの作品には、インパクトのある「龍」が中心に存在する。きっと子どもはここに食いつくだろう、の予想通り彼らはここに強く惹き付けられた。そのおもしろさや、不思議さを感じ取った。
だがそれだけではなかなか作品全体に目がいかない。この作品のよさは、様々な瓦礫の描かれ方、背景と前方との違いである。それに気付かせるには、子どもの視点をあえて焦点化させる必要があった。その意味では、全体像→上半分→下半分→全体像という見せ方はよかった。そして子どもの感じ方が異なっていく様は、それが確かだと感じた。
銅版画「城砦」の鑑賞授業で学ぶ2_c0052304_119952.jpgそれも子どもを作品の前に座らせ、間近で見て教師とやり取りをすることも効果があった。さらに子ども自身が小さな作品を持って考えたり、友達と対話しながら考えるという手法はこれまで私たちの多くが実践してきた授業作りが役立っていると感じた。実物を持ち込むことや、学芸員・作者の話を最後に持ってくることも然り。


上述のような取り組みで、子どもは絵を見ながら多くのことに気付くが、深く考える力そしてさらにしっかり見る力を付けるには、やはり授業者の力量(いわゆる授業力)が必要になる。その点で、私たちは、村上氏の授業に学ぶことが多かったのである。
子どもの発言の取りあげ方、言葉のやり取り、発問、部分に注目させるためのアナログの活用(虫めがね)やデジタルの活用(タブレットとテレビを使った拡大)、発言を構造的に書いていく板書。こういったところは、チームでなく個人の力だと感じた。

次回はそのような点について具体的に述べてみたい。


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by saibikan | 2013-10-27 11:03 | 版画会・県市図美研・図工研発 | Trackback | Comments(0)


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