人気ブログランキング |

九州放送教育研究大会にて思う〜木原先生の講演を中心に〜

九州放送教育研究大会、午前の部。
午前は、出水小で公開授業の参観と授業研究会に参加。3つ同時に行われたので2年国語と5年社会を半分ずつ参観。NHK forschoolの10分番組を授業でどう活用するかを視点に授業を見た。
授業研究会では、同時進行した3つの授業合同の研究協議は難しくなるだろうと思ったが、司会の金井先生、コーディネーターの前田先生がうまく進行をされ、有意義な会となった。助言者の大阪教育大学大学院の寺嶋先生の話もわかりやすかった。

午前中の授業研究会の協議の中で、NHK for schoolの番組を活用した授業を見て、自分は以下のように思った。また類似した意見も述べた。
「研究チームにより十分に練られた内容で、プロが制作した番組だけに、コンテンツとしての価値は高い。授業のねらいに合致しさえすれば、番組自体はかなり効果的な資料である。」
一方で
「映像(動画)はやはり情報量が多い。授業者が発言されたように強く印象付けられるのも確か。でも子どもの実態が、番組で意図する点に集中していない場合がある。また、印象づけられる内容が多様化して教師の意図すること以上に多くのことが子どもに意識づけられ拡散すると、混乱し授業が焦点化しない。そう考えると、全てを見せなくてもいいのかもしれない。あるいは見せた後にどこかに絞り込んで取り上げて考えるとか、発問を工夫するとかしたほうがいい。」
会場からも似たような意見だったかなと思う。

ただそれは、実は、ICT活用の授業の中では、これまでも何度も議論され続けてきたことだ。映像(動画)を資料として使うたびに
「画像の方がよい。あるいはポイントとなる部分だけ見せればよくないか。」
何度もそういう議論はしてきた。
映像の良さと画像の効果の比較。
そして放送教育では番組を扱うことありきだから、当然そうなってしまうのかな?という浅い考えのまま、その場では自分の中で収めてしまった。

ところが、映像を活用することを前提として、それも番組自体を活用する点に、何かしら意図があるようなことも、会場校の先生方の言葉や助言者の言葉の中に含まれている気がした。「番組にはストーリーがある。」「短いクリップとは違う。」という声があった。しかし、自分には、それがどういう意味を持つか、あまり明確にはならなかった。多分研究協議でも、そこははっきりとしなかったように思う。

だが、午後の木原俊行先生(大阪教育大学教授)の講演を聞いていくうちに、自分の心の中にあったもつれのようなモヤモヤが、次第に紐解けていく。

木原先生の演題は「ICT活用におけるアクティブ・ラーニングの充実」
アクティブ・ラーニングとICT活用の接点を中心に、カリキュラムマネジメントの話まで進んだ。

ICT活用における・・・というケースを考えた場合、その前提としてICT環境整備がある程度なされていないと、様々な取り組みは充実しない。PCの一人当たりの児童生徒数は6.4人だが、私たちの市は12.7人とかなり少ない。タブレット型PCの配備については、全国的には1年で2倍以上に増加しているのに、自校は(というか我が市の小学校の多くは)なんとゼロ台である。もちろんICTとは、PCだけではないが、やはりPCは重要な位置を占める。ICT活用でアクティブにする場合において、かなり有効なツールがこれでは・・・というところから、我々の中ではスタートする話である。でも、そういう状況であっても、やっていかねばならない。
となると、その状況の中で、NHK for schoolが効果的なコンテンツとして扱える授業作りができれば、映像活用も大きな味方となる。

木原先生が「主体的・対話的で深い学び」(アクティブ・ラーニング)を、「学習者の能動的な学び」として捉え、さらに
・身体的に
・知的に
・社会的に
の3点から話をされた。特に2つ目を中心としてここでは述べたい。

「知的に」とは、「解が一つに限らない問題に接して多面的に思考し、その結果を工夫して表現する」ことであり、そこに深い学びがある。

そして知的に能動的な学習では、
「学び直しが不可欠」
であるということ。そうなると当然授業時数は増えていく。現在は「総合」ではよく行われているが、教科の学習では、全体の指導計画をどうするかということが重要になる。つまり、単元レベル、年間指導計画レベルでALの視点による授業も考えるべきだということである。
それは一つ目の「身体的に」のところで述べられた、身体的に能動的な学習(例えば実験・観察、レポート作成や論述、プレゼンテーションなど)の多様化や複線化も大きく関係してくるだろう。そしてNHK for scoolの10分番組が、自分の学びを見直すための動機付けになれば、それは教師が新たな意識を持った授業スタイルとなる。

また、知的に能動的な学習では
「多面的な検討」
が行われるようになる。そのために試行錯誤のツールの提供がなされると良い。そこではデジタルが効果的であり役立つという考え方であった。
さて、ではここで、NHKforschoolの番組(10分映像)が、どうつながるだろうか?ということを考えてみたい。
10分とはいえ映像であるから、多くの内容を含んでいる。だからこそ「ああでもない、こうでもない」という試行錯誤という視点で見ると、ある意味効果的に使えるのではないか、ということを木原先生の言葉から考え始めた。

以下は木原先生の話を聞きながら、自分なりに、「映像は情報量が多い」ことを、あえてプラス的に考えるという逆転的思考で自分なりに整理したものである。

・色々な要素を含むからこそ、ある時は「習得・活用・探求」が一気に子どもの中で始まる場合もある。番組を一つ見せることで子どもの意識が広がることがある。子どもが様々な視点から課題意識をもって子に応じた主体的な学びがスタートするかもしれない。(課題意識を持つ場合の活用)
・子どもたちの中に複数の課題があるからこそ、情報量の多い映像がむしろ功を奏し、それが能動的な学びを誘発するかもしれない。(課題を追究・解決する場合の活用)
・個々の学びを互いにつなげ、意味ある大きな課題解決のまとめとして、映像がわかりやすく子どもの中に入ってくるかもしれない。(課題の解決と学習の整理への活用)
・全員が身につけるべきことができた上で、個々の興味・関心をさらに広げ、自主的な学習へ繋げる時に役立つかもしれない。(新たな学習への個人的発展)
・映像を単元の中で効果的に使えば、時間の短縮が図られ、より深い学びができる単元指導計画や、合科的な年間指導計画を作ることができるかもしれない。(教科のクロス)

ただし、情報が多くあればいいというものでもない。分散してもいいというものでもない。最終的に、子どもの中で一つの学習の到着地点はあるだろう。新たな課題意識が生まれてそれは解決していなくても、子どもなりに収束しなくてはならない。だからこそ「ストーリー」のあるコンテンツとして制作されており、そこを大切にすべきなのかも。
c0052304_22083392.png
上のことを、この日の授業や研究協議に当てはめて、さらに具体的に、自分なりに考えてみる。
例えば2年国語。番組では
1 文章を詳しくするためには、言葉を付け加えること。
2 詳しくするためにたくさん言葉を付け加えすぎると、文章がわかりづらくなること。
という、二つの設定で作られていた。本時のねらいからすると前半の1が必要。子どもの中にすでに前半が達成しているならば後半の2も重要。であるならば、こういうコンテンツをそのまま使って学習に生かすとするなら、映像を見たあとに、それぞれの子どもが自分はどちらの課題を解決すべきなのかわかり、それに沿って場所も移動しながら(そのことが板書してある黒板の前)、解決していく。1を終えて2に行くことはあっても2から1に行くことはないので、2を達成したら友達と検討し合う、教え合う場に移って行くと良い。
これは今日の授業がそうすればいいということでなく、ねらいを変えこのように活用していくことで可能性が広がるのではないかということである。
c0052304_22085534.png
5年社会は、導入時間に番組を使うならば、子供達は様々なことに関心が向くだろう。だが、番組の中で、狩野えいこうが、「(消費者として)安くて美味しい海外の食料を食べよう」というCMを作っていることから、子どもたちはその内容やCM作りということを柱に考える。
おそらく、「狩野が言ってることはわかるけどそれじゃいけないんじゃ?」と子どもが思う内容が番組内には散りばめられている。だからこそ「食料自給率を高めるために、国産の食料を買ってもらう方法を考えよう」というめあてを再検討すべきかも?まずは、下のことをもうちょっと突っ込んで話し合うべきかな?
・食料自給率が低いのはなぜか。なぜ自給率を高くしなくてはならないのか?
・自分だったら、はたして安い外国の食料でなく高い国産のものを買うのか?

その意見を深める時に、子どもが見た番組が根拠として現れてくる。切り口は違っても、「安心・安全」のよさとその視点に沿った課題解決へ向かって行くのではなかろうか。
子どもたちは、自然とその上で、じゃあどうすべき?誰の立場で?誰に対して訴える?となってきてCM作りの意味が出てくる。CMという以上は、主張と相手意識が明確でなくてはならないはず。そして相手を行動化させるところにCMという言葉を使う意味がある。「発表のまとめのようなもの」では、CMとはちょっと違うかも。
そして1時間目にCMを作るという目標まで持たせるのは、かなり濃い授業となる。となると、わずか3時間でできる内容ではないなあ。時間をかけてうまくいくと面白そう。単元レベル、年間指導計画レベルで考える意味がここにあるのかなー。

木原先生の後半の話には「社会的に能動的な学習」だった。
タブレット端末による共同鑑賞、共同分析。
ジグゾー学習(複線化)の充実。
テレビ会議システムの活用。
ICTが時代を超えて作品を作っていく。
ああ、過去に自分がやったことを高めていけばそれのどこかにに向かえるかもしれない。そう思ったが、如何せん、自分は、今は全くそういう状況にない。やはりICT環境整備無くしてICT活用はないーその通りの現状である。
とりあえずアナログで能動的な学習、対話的に、協働的に・・・と思って取り組もうと思うが、如何せん、学級づくり・授業づくりの基本無くしてALはない。現実には、そこからのスタート。基本はいつでも大事。それができていないとジャンプどころかステップもできない。目指したいのはジャンプでも、今はまずホップ。
「それを身を以て感じてるじゃないか」
とふと笑う自分に、
「少し状況が好転し始めたかも・・だから笑って考えられる。」
と淡い期待が生まれていることに気づいた。
さあ、来週から、少しずつ前へ進もう。と、力不足の自分を叱咤する。

とにかく、とても多くのことがストンと落ちた木原先生の講演だった。

by saibikan | 2016-10-31 22:10 | 情報教育(ICT/情報研/JAET)) | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : https://iroiroart.exblog.jp/tb/26107752
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。


創造性あふれる子供のアートの魅力。それはテクノロジーの利用によって、より豊富になる。教育と日常を通して、未来を考える空間。


by saibikan

プロフィールを見る
画像一覧
更新通知を受け取る

S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31

ブログジャンル

先生
教育・学校

カテゴリ

全体
キッズゲルニカ制作編
キッズゲルニカ発信編
アートマイルプロジェクト
6年海外交流ArtMile図工・総合
5年図工美術家連携プロジェクト
5年総合BOBURAドリームP
6年図工授業
5年図工授業
4年図工授業
3年図工授業
1.2年図工授業
for the world
プログラミング
ロイロ ・シンキング
学級づくり・学年経営
ソーラン節
魔法プロジェクト(特別支援教育&ICT)
図工総合関連(竹ちゃん学習)
図工国語関連(やまなし)
図工サークル
図工室経営・図工美術論
図工美術全国大会/InSEA
図工美術熊本県大会2014
版画会・県市図美研・図工研発
造形展・子美術展・児美教室
美術作品・美術館・地域美術
総合的学習・生活科・地域
国語授業
社会授業
算数授業
理科授業
体育授業
道徳授業
外国語授業
音楽・ミュージック
自然・科学
動物(Lee/Chiro/Rufi)
スポーツ
学校行事・その他学校
情報教育(マイタウンマップ)
情報教育(ICT/情報研/JAET))
Future未来問題解決プログラム
情報(社会・news/blog/HP)
情報(番組・メディア・映画)
Macintosh
日常・旅・まち・料理
校内研究
プロフィール
我が家のアート
学習指導要領・教育施策
変わりゆく駅周辺
教師と社会・保護者

環境エコ
I love N.Y.
教務の仕事
霧プロ
ゆげっこ同窓会
Family
小説
理科授業
熊本地震
音楽授業
未分類

記事ランキング

LINK(excite以外)

ブログパーツ

お気に入りブログ

おおはしわあるど=ブログ=
図工だいすき子ども美術展
美術な目
■ 創生地 ■ そろそろ...
美術と自然と教育と
図工準備室
Hawaiian Br...
れれれさるの『学級日誌』
写真は口ほどにモノを言う 
図工室から ―図画工作の現場―
ぱれっとぺーじ
はーと&はーと 
尻別川の畔より/K9 F...
図画工作・美術教育の大切...
“色といろいろ日記”
うつわのココロよ。
Heavenly Blue
つくること みること か...
のんびり徒然なるまま
smilecircle
街を美術館にしよう! ま...
図工大好き橋本ゼミin函館

最新の記事

Art of children
at 2019-10-15 05:29
新しい時代の幕開け 2時
at 2019-10-14 10:19
新しい時代の幕開け 1時
at 2019-10-11 05:39
新しい時代の幕開け(明治維新..
at 2019-09-18 05:29
新しい時代の幕開け soci..
at 2019-09-16 11:13

最新のコメント

mita2637様 コ..
by saibikan at 17:25
鹿児島へ行かれたのですね..
by mita2637 at 16:29
毛皮のコウディーさん、コ..
by saibikan at 22:14
彩美館のブログ主様初めま..
by 毛皮のコウディー at 16:37
彩美館のブログ主様初めま..
by 毛皮のコウディー at 16:37
カギコメ様 了解です。..
by saibikan at 21:11
カギコメ様 コメントあ..
by saibikan at 21:09
Y様 こちらこそ、..
by saibikan at 17:18
「全員でゴール」たしかに..
by saibikan at 08:15
新年度、私も同じところか..
by ゆい at 08:56

以前の記事

2019年 10月
2019年 09月
2019年 08月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 05月
2019年 04月
2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 03月
2008年 02月
2008年 01月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 09月
2007年 08月
2007年 07月
2007年 06月
2007年 05月
2007年 04月
2007年 03月
2007年 02月
2007年 01月
2006年 12月
2006年 11月
2006年 10月
2006年 09月
2006年 08月
2006年 07月
2006年 06月
2006年 05月
2006年 04月
2006年 03月
2006年 02月
2006年 01月
2005年 12月
2005年 11月
2005年 10月
2005年 09月
2005年 08月
2005年 07月
2005年 06月
2005年 05月
2005年 04月
2005年 03月
2005年 02月
2005年 01月
2004年 12月
2004年 11月
2004年 10月
2004年 09月
2003年 06月

ファン

画像一覧