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研究発表会報告5 親子対話

通知表はぎりぎりにできあがる。研究授業案も完成するのはわりと直前。
彼はそういうタイプ。

運動会の表現や学習発表会での学年のだしものなどにおいては、
周りが親切に心配・・・
  あんなにのんびりしていてできるのかな?
  いったい何をやる気なんだろう?
  子どもが全体的に動いてる様子が全く見えないけど・・・

ところが本人は至ってのんびり
  そうかあ、そろそろやんなくちゃ

残り一週間ぐらいになると動きが見え始め、あっというまに
子どもたちが変貌していくとか。
そして当日は、けっこういいものができて、拍手喝采。
人はそれをNマジックと呼ぶ。

だが彼はそれまで何もしないわけではない。
彼の頭には様々なアイデアがパーツとして存在している。
それがある時一気につながり、形となり、外に吹き出すだけ。
それと数ヶ月前から布石は打っている。
見通しを持った場合もあれば、勘によるものもある。
何もしていないようだが、彼の世界の中では常に何かが動いている。

 *******************************

さてさて、話は変わって先日の研究発表会パート5は「親子対話」について。





そんな彼でさえ、さすがに今回だけは、始まるまでどうなるか見当がつかなかった。

授業とは違う公開活動。

自分のクラスは持たないし、自分で子どもを選ぶこともできない。それに
子どもだけが相手ではなく、親のモチベーションをどう高めるかも課題。
事前に授業で何かができるわけではない。いや、むしろ授業でやっていたものを
今年の夏の時点でひっくり返してしまったのは彼自身だから。

でもそれは当然である。

昨年度やっていた方法を踏襲して授業の中で1学期に実施したが、
目的が見えなかったからだ。他職員からの意見もあった。
彼自身抱いていた疑問と同調する反省が出された。

総合の授業とどう違うのか?  
台本を読む活動が討論なのか?
発表のための活動ではないのか?

前の方法にはそれなりの主義主張があったかもしれないが、
彼にはそれが見えなかった。ならばー
思い切って彼は方向転換の案を出し、その担当も一人で
丸受けすることにした。

「授業での学級の親子討論でなく、今実際に取り組み続けている
 ペアを中心とした親子対話に焦点を当てよう。できれば、実際の
 親子に登場してもらって、対話をしてもらおう。対話力向上と
 親子のコミュニケーションという観点から会場みんなに見てもらい
 考えてもらおう」

それが8月。

だが数人は賛成するも、不安を口にする者もいた。そう、当然。
皆が賛成したのではいいものは生まれない。
また彼の代案は、自分一人で考えた内容だけではない。
数人の意見を拾って、改良したといえる。だjから研究の一端が、
みんなで検討し、進んでいるという点ではよかった。

一応それに決まり。だが実際に動き出すのは、
運動会後の10月半ば。

さらに具体的新案を提案。話す内容。目当て。形態。
とにかく200人ぐらいの前でやる形として最良の方法は?
部会で話し合う。


ある程度の案ができる

それにそって親の代わりに教師でやってみる。
なかなか楽しい。うまくいくかもーそういう言葉が出る。 


         希望の光


教職員で役割を分担する。数カ所に分かれてやってみようとなる。
発表一月前。担任は指導案の修正に大わらわ。

その間に、彼はある保護者と子どもで試しにやってみる。


        撃沈



     うまくいかない

     対話にならない



実の親子だからうまくいかないんですよ

保護者が言う

それを耳にした職員からも同様の声が上がる

「おいおい、今になって同調するなよ・・・
じゃあ前の方法がいいとでも?」
彼は眉をひそめた。しかし、たしかに・・・


  子どももやりたがらない

  よく見るとよく話す子の親はあまり話さない。
  よく話す親の子はおとなしい。
  両方よく話す親子は、親が多忙で来られない。

   うまくいかないね~・・・

「いや、これが現実。だからそこをどうするか。
それが課題だな」といいつつ
「どだい、家庭対話を学校で取り上げること自体が
無理?」と自問自答する彼。

しかし、学校として、保護者と協力して家庭での対話を
推進してきた成果はあるわけだから、ここであきらめてはならない。

それに試しだったわけだし、その保護者も理解ある方で
今後への意見をくださった


さて、これからどうすべっか?
数人と相談。

担任から保護者に参加を投げかけてもらうようにした。
意図を話してもらって・・・。



新たにでてきた親子3組。

決して話がうまい子たちではない。
うちはうち、ってやり方の家庭の親子もいる。

親子に来てもらう。最初やってみた。

  撃沈とまでは行かずとも沈没気味・・・

  う~む

さすがの彼もうなった。
参観していた職員も・・・・・沈


  だが日は刻々と進む。


彼は思った。

原点に返ろう。

なぜ親子対話を推進したのか。
反対意見の根拠は何なのか。
事実、家庭でどういう対話が行われているのか。

それを3組の親子と共に話すことから始めた。

ぶっちゃけた話、家での様子はどうですか?
うちはいまだにおしゃべりですよ。ただ、学校で言われるような
対話力はないですけど、仲はいいですよ。
お母さん、うるさいぐらい話す。
うちはねえ、実はあまり上手く対話ができないんです。
そ、お母さんすぐ怒る。
じゃあ、これを機会に親子対話進めてたら(笑)

いつしか7人の対話が楽しくなってきた。

その対話を元に劇化することを提案。
ただし、親子の対話の部分はかなりアドリブでやってもらうことに。
子どもだけの手伝いも十数人お願いし、その時感じたことを
言ってもらうことになった。
職員にも2人出演を願うことに。

練習したのはわずか2~3回。放課後とか昼休み。
親も忙しいから全員がそろうことはない。

でもそのたびに何かが変わってきた。
親と子で何がいいか話し合ってる。
なるべく自然に、でもあまりプライベートなことや
くだけすぎはいけないし・・・
会場のみんなに何を伝えたらいいのか~
親から彼へも質問がくる

周りで参加する子たちも劇を楽しむ。
ただし本番では、この場面では
自分で感じたことを自分の言葉で話すんだよ、と言うと
「はい、まかせてください」
返事はいいが
担任でないが故、十分につかめない。
こちらも実際どうなることやら・・・



数日前、委員会指導主事が訪問。
「親子対話はだいじょうぶですか?」

彼は答える
「どうにかなります」
そう思っていたかどうかは別として



いつのまにか本番の日。
「うまくいきそう?」
しだいに彼任せになっていた同僚も
朝から済まなそうに話しかける
「どうにかなるでしょ」
もう腹をくくったよう。



当日午後。体育館。
ステージでの演劇形式にしていた。

1年生の親子対話劇を現実に即して、職員と子どもで行う。
会場の反応がいい。
そうだよ、こんなことよくあるよ、そんな感じ。
やってる子たちものっている。
ひとまず終わったところで彼が、他の子どもたちに感想を聞く。
こんなとこがいいな
もっとこうならいい
自分はこうだ
大きい声で話している。

さあいよいよ次は実の親子登場。
家庭で対話がうまくいかない様子から始めてあるきっかけで変化する
ところを見せてくれた。これまたいい感じ。完全な劇でないアドリブが
はいるところがまたいい。

結局3組の対話の合間に彼が入り込み、座談会みたいな対話を
保護者としたり、子どもたちから意見を引き出したりする。
会場も一体化してこの問題を考えている様子を感じ取れた。

親子対話は約25分で終了。最後は会場から多くの拍手があがった。

よかったですね~ 
周りからかかる声。

でも彼は珍しく思った
心臓に悪いな~こんな役回り。

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by saibikan | 2006-12-10 07:56 | 校内研究 | Trackback(1) | Comments(0)
Tracked from 世界 丸 見え at 2006-12-14 22:50
タイトル : 世界 丸 見え
世界まる見えについてお話します... more


創造性あふれる子供のアートの魅力。それはテクノロジーの利用によって、より豊富になる。教育と日常を通して、未来を考える空間。


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