人気ブログランキング |

<   2013年 11月 ( 15 )   > この月の画像一覧

銅版画「城砦」の授業で学ぶ6

授業分科会(授業研究会)編である。

授業後約20人の参加者による意見交換が行われた。
今回はいつもの研究会メンバーだけでなく、一般参加の先生方もけっこうおられた。
そういう立場の方々から鋭い突っ込みがあると協議は盛り上がる。

ある先生からの質問(反論、意見的な)を3点取りあげる。

Q1 子どもたちに自由に想像させることがねらいと言っているのならば、 
 作品の題名を与えたのはそれに反していないか。
Q2 作者が来ていたが、意図や主題をあえて話さなかったので、子どもたちから
  「えー」という反応があったが、これは意欲をそぐことにならないのか。
Q3 自由に想像する鑑賞というのは分かるが、作者の意図を知りたいと自分は考えるがどうか。

授業者並びにスタッフの答えはこう。
 作品名を最後に出すことで、作品名あてクイズのようになってはいけない。当たった外れたーと。作者の意図も同様で、それをあとで知って、自分の考えたことが違っていて外れたと落胆する場合がある。中学年の児童の場合、鑑賞者自身が作品のよさを見つけたり、意味を見出したりしていくような鑑賞の楽しさを十分に味わうことが必要。ただし、作者の意図を聞きたくなる児童もいる。聞きたくなったら聞いた方がいい。聞きたい子から手紙を出して返事を出すという方法がある。
また、Q2については、作者が、4年生の児童に自分が描いた意図を話せば長くなるしすべてを理解してもらうのは難しいだろう、この絵を見て子ども達がどう感じるかが大切だと言うようなことを補足された。

質問者の答えにぴたっとはまっていたとは言えないが、
この質問で鑑賞授業の本質の部分を考えるのにはいい機会だった。

私が思ったのは
・子どもの実態や発達段階に沿う教材であるかを考える必要がある。それは絵を理解できるかどうかでなく、中学年の子どもが「良さや面白さを感じ取る」「感じたことや思ったことを話したり話し合ったりしながらいろいろな表し方や材料による違いがあることを分かる」ことができる作品であるかということだ。もちろん表現の意図が過激であれば、それは教師の方で一考を要しなければならないが、今回はそれはあてはまらないだろう。
地域の美術館にある版画、同じ郷土に住む作者の作品であることで、まず親しみを持った。そして自分たちが経験したことのある手法と似た技法が使ってある版画ということから、絵をじっくり見て描き方や表し方へのよさに気付いた。インパクトのある龍が中心に存在し、周りの瓦礫の様子は、子どもなりのおもしろさへの気付きを持たせ、発想させてくれるものであった。対比的な構図のよさに気付いている子どももいた。そう言う意味では魅力的な題材だと感じた。
・「作品名」「作者の意図」は、大人は知りたいという意欲が強い。高学年になればそう言う意識を持つ子どもも多くなるし、学習指導要領解説書でも「表現の意図をとらえる」ことを必要としている。だが中学年では絵と自分が向き合って感じることが大事となる。作品名を聞いても想像が難しい、理解に個人差が大きい場合は、あまりそれにはこだわらない流れが必要である。最後に出すと子どもの中にどうしても「当たった、外れた」となりがち。それを避けるためであったと考えられる。それと知識豊富で思考の深い子どもは「ああ、だから城砦なのか」とふと思うかもしれない。それはまだ個人的な感想のレベルでよい。
・わざわざ作者に来ていただいたので、表現の意図を話してもらった方がーと言う考え方もあるだろう。今回はむしろ絵の見方=「絵は自由に見ていいのだよ、自分で感じていいのだよ、」と言うことを伝えるのに大きな役割を果たしていただいたように思う。プロの美術家と私たちが言うのには説得力が違う。それでもこの絵の意図を知りたい子どももいるだろうがそれは今後、そう言う意欲がある子どもが自ら動くことが大事となる。発言があったように、そのような子どもは作者に手紙を出す時にたずねるなどしたら、きっと作者はそれには答えてくれるだろう。
ある子どもの感想に「美術館に行って、東さんの他の作品を見てみたい。将来またこの絵を見て考えたい。」と言う言葉があった。こういう子どもを育てることが大事である。


最後に、授業者のMark Murakami 氏に拍手。 
*Markは愛称です。本名ではありません。                        終
by saibikan | 2013-11-03 13:36 | 4年図工授業 | Trackback | Comments(0)

銅版画「城砦」の授業で学ぶ5

図画工作科改定の要点に
(ⅱ)内容の改善
エ言語活動の充実
がある。そこには以下のように書かれている。

「B鑑賞」の各学年の内容に「話したり、聞いたりする」「話し合ったりする」などの学習活動を位置づけ、言語活動を充実する。

確かに鑑賞の授業では、見るだけでなく、話し合うことで、感じ取る力や思考力が一層豊かになることは、明らかだ。ただ、私たちにとってはこれは別に目新しいことでなく、以前から実践していたことでもある。「私たち」と述べたのは、 Markと私は10年以上、同じ図工サークルの仲間として実技研究や授業研究をしてきている仲間だからである。7〜8年ほど前には、14名の仲間で鑑賞の授業を研究して、論文にまとめた経緯もある。その時から言語活動を意識していた。
今でも私たち仲間の鑑賞の授業では、その時のスタイルがベースにある。それは今回のMarkの授業も同様。私たちはそれを踏まえた上で、さらにより充実を図ろうとしている。個人としてもチームとしても。

14人のチームワークによる教育美術賞1    

「城砦」での授業者の工夫の一つに、子どもと教師の対話、子ども同士の意見交換の場面があった。子どもが感じた言葉から、どこから?なぜそう思った?と教師が問い返していくことで、考えー根拠ー理由を明確にしていく。それをわかりやすく構造的に板書していく。彼は、感じーもと、という言葉を使ってまとめていた。図工ならでは、か、子どもわかりやすい言葉として、か、ひょっとしたら以前勤めていたF小の研究内容もあるかもしれないーそこはあまり協議の話題にならなかったが、私としては非常に興味深い点であった。なぜなら自分も、かかわり合い、協同学習、グループ活動、対話などで子ども同士の言語活動の充実をどのように進めると良いか日々実践しなががら考えているからである。そういう意味では、子ども同士の対話という点ではこの日の授業では弱かったかもしれない。私自身の授業でもまだまだというところ。これから目指したいところだ。
c0052304_1102634.jpg

言語活動は、いろいろな人が、様々な手法や理論で、授業に生かしている。鑑賞の授業を言語活動の側面から自分なりに深めたいと感じた。

余談だが、7年前のブログ記事を読んでいたら、Markはマレーシアにいたことが分かった。
そうかあ、受賞の時彼は日本にいなかったのだ。7年かあ、もうそんなに時が経ったのだな。
by saibikan | 2013-11-03 10:56 | 4年図工授業 | Trackback | Comments(0)

ドライポイントの動画サイト

前回の記事で出てきたドライポイント。

大学のときに初めて授業で経験した記憶がある。
小学校の授業で自分が指導したことはないなあ。

美工社のサイトにドライポイントの説明や動画がある。なかなか分かりやすくていい。

youtubeにも、bicosha名であげてある。



by saibikan | 2013-11-02 10:56 | 版画会・県市図美研・図工研発 | Trackback | Comments(0)

銅版画「城砦」の鑑賞授業で学ぶ4

今回は作品の提示の仕方、作品と出会わせる工夫。

子ども達の前に版画作品の実物が置かれていた。
「ホンモノ」の「城砦」である。
いかにデジタルの時代とはいえ、「ホンモノ」にかなうものはない。
今日の授業のために、東氏が貸し出してくださったものである。
近くで見ると、表現の緻密さに驚く。
すばらしい美術作品である。
なにしろ版の一つは市現代美術館に所蔵されているのだから。
もちろん複製画でも今日のような豊かな鑑賞授業はできる。
だが、Markが子ども達に「ホンモノ」と出会わせることを計画し、実行した。
c0052304_10162444.jpgしかもイーゼルを使って、作品を展示した。
そっとカバーをめくって作品を提示した。
作品を大切にする姿を子ども達に示した。そしてなんと、ラストには、美術作家である東氏が子どもの前に立ち、話をされた。
だからこそ、子ども達にとってより豊かな鑑賞となった。

そして、Markの鑑賞に関する手立てはこれにとどまらない。
この授業以前に、表現活動としての版画学習で、子ども達に
簡単な「ドライポイント」を体験させていた。
表現を鑑賞に生かす手立てである。
この体験があったからこそ、子ども達は細か口密な表現に目が釘付けになり、
感動を覚えたのだろう。
by saibikan | 2013-11-02 10:16 | 版画会・県市図美研・図工研発 | Trackback | Comments(1)

銅版画「城砦」の鑑賞授業で学ぶ3

Mark村上氏の授業力を私なりに分析していく。
今回は、板書・機器の位置と役割、そして活用。
c0052304_892461.jpg

中央に黒板と絵。チョークが中心。

最初のイメージと学習後のイメージの変化を視覚的にとらえる。
中央に絵があることで、常に絵を中心に学んでいることを実感できる。
教師の手にはタブレット(iPad端末)。部分拡大はこれを使う。

左にデジタルテレビ。無線で飛ばしている。

子どもの気付きを教師がタブレットでスムーズに拡大。
拡大された部分をこの画面で見ることでさらに気付きが広がった。
思考も深まる。
実物投影機は最後に子どものシートを共有するためであった。

右にはホワイトボード。ペンを使用。
絵を見ながら子どもが発した言葉を整理して書いていく。
意見と根拠を意識して板書が行われていた。

そして子ども達は黒板前に集められ、
目前にどっしりと据えた銅版画の実物(本物)。

実に考えられた学習空間である。 


にほんブログ村 教育ブログ 小学校教育へにほんブログ村 教育ブログへにほんブログ村 教育ブログ 図工・美術科教育へ
よければ、ぽちとワンクリックを。
by saibikan | 2013-11-02 08:11 | 版画会・県市図美研・図工研発 | Trackback | Comments(0)


アートな授業作りに臨む日々。ICT活用や美術館活用、問題解決学習。思考力と心。基本はアナログ。ADE・ランナー・小学校教師Kanのblog。


by saibikan

プロフィールを見る
画像一覧
更新通知を受け取る

S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

ブログジャンル

先生
教育・学校

カテゴリ

全体
キッズゲルニカ制作編
キッズゲルニカ発信編
アートマイルプロジェクト
6年海外交流ArtMile図工・総合
5年図工美術家連携プロジェクト
5年総合BOBURAドリームP
6年図工授業
5年図工授業
4年図工授業
1.2年図工授業
3年図工授業
プログラミング
ロイロ ・シンキング
学級づくり・学年経営
ソーラン節
魔法プロジェクト(特別支援教育&ICT)
図工総合関連(竹ちゃん学習)
図工国語関連(やまなし)
図工サークル
図工室経営・図工美術論
図工美術全国大会/InSEA
図工美術熊本県大会2014
版画会・県市図美研・図工研発
造形展・子美術展・児美教室
美術作品・美術館・地域美術
総合的学習・生活科・地域
国語授業
社会授業
算数授業
理科授業
体育授業
道徳授業
外国語授業
音楽・ミュージック
自然・科学
動物(Lee/Chiro/Rufi)
スポーツ
学校行事・その他学校
情報教育(マイタウンマップ)
情報教育(ICT/情報研/JAET))
Future未来問題解決プログラム
情報(社会・news/blog/HP)
情報(番組・メディア・映画)
Macintosh
日常・旅・まち・料理
校内研究
プロフィール
我が家のアート
学習指導要領・教育施策
変わりゆく駅周辺
教師と社会・保護者

環境エコ
I love N.Y.
教務の仕事
霧プロ
ゆげっこ同窓会
Family
小説
理科授業
熊本地震
音楽授業
未分類

記事ランキング

LINK(excite以外)

ブログパーツ

お気に入りブログ

おおはしわあるど=ブログ=
図工だいすき子ども美術展
美術な目
■ 創生地 ■ そろそろ...
美術と自然と教育と
図工準備室
Hawaiian Br...
れれれさるの『学級日誌』
写真は口ほどにモノを言う 
図工室から ―図画工作の現場―
ぱれっとぺーじ
はーと&はーと 
尻別川の畔より/K9 F...
図画工作・美術教育の大切...
“色といろいろ日記”
うつわのココロよ。
Heavenly Blue
つくること みること か...
のんびり徒然なるまま
smilecircle
街を美術館にしよう! ま...
図工大好き橋本ゼミin函館

最新の記事

新しい時代の幕開け soci..
at 2019-09-16 11:13
シュライヒャー局長とともに ..
at 2019-09-15 10:38
夏の歌川広重展
at 2019-09-15 07:07
新学期に子供を迎える電子黒板
at 2019-08-27 06:15
スパイダーマン・ファー・フロ..
at 2019-08-26 04:00

最新のコメント

mita2637様 コ..
by saibikan at 17:25
鹿児島へ行かれたのですね..
by mita2637 at 16:29
毛皮のコウディーさん、コ..
by saibikan at 22:14
彩美館のブログ主様初めま..
by 毛皮のコウディー at 16:37
彩美館のブログ主様初めま..
by 毛皮のコウディー at 16:37
カギコメ様 了解です。..
by saibikan at 21:11
カギコメ様 コメントあ..
by saibikan at 21:09
Y様 こちらこそ、..
by saibikan at 17:18
「全員でゴール」たしかに..
by saibikan at 08:15
新年度、私も同じところか..
by ゆい at 08:56

以前の記事

2019年 09月
2019年 08月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 05月
2019年 04月
2019年 03月
2019年 02月
2019年 01月
2018年 12月
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 03月
2008年 02月
2008年 01月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 09月
2007年 08月
2007年 07月
2007年 06月
2007年 05月
2007年 04月
2007年 03月
2007年 02月
2007年 01月
2006年 12月
2006年 11月
2006年 10月
2006年 09月
2006年 08月
2006年 07月
2006年 06月
2006年 05月
2006年 04月
2006年 03月
2006年 02月
2006年 01月
2005年 12月
2005年 11月
2005年 10月
2005年 09月
2005年 08月
2005年 07月
2005年 06月
2005年 05月
2005年 04月
2005年 03月
2005年 02月
2005年 01月
2004年 12月
2004年 11月
2004年 10月
2004年 09月
2003年 06月

ファン

画像一覧